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2009年にドラマ化もした「漂流ネットカフェ」をご紹介します。
「悪の華」や「血の轍」の作者押見修造が描くミステリーです。
登場人物の心理描写がリアルですごい作品です。
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「漂流ネットカフェ」のあらすじ＆ネタバレ
土岐耕一は化粧品会社の経理をしている29歳。
妻のゆきえは妊娠5か月。
ゆきえから「赤ちゃんのためにも禁煙して」と言われているにも関わらず、会社でタバコを吸ってしまう耕一。
帰宅後一方的にヒステリーに責められ、喧嘩になってしまいます。
次の日の朝、帰ったら話し合おうと言うもののまた責められるのは確実。
帰りたくないと思って立ち寄ったネットカフェで中学の頃の初恋の相手・遠野果穂と再会します。
中学時代、おそらく両想いであったであろう遠野。
様々なアクションをかけられていたのに気づかないふりをして、逆に距離を置いてしまっていたことを土岐は後悔し続けていました。
遠野との再会に浮かれるものの、自分は結婚もしており子供も生まれる…。
帰りたくない、現実が嫌だと思っていた土岐。
そこに室内にも聞こえる程の大雨、停電。
帰れなくなってしまった土岐はネカフェに一泊する事にします。（遠野とは隣のブースにしてもらっています）
翌日外に出てみると世界はネットフェのみ残されており、あたりは高温の湿地帯となっていました。
さらに血を吸う得体のしれない生き物が生存。
ネットカフェの利用客達は欲望のままに行動するようになります。
特に寺沢というネットカフェ難民の男は力で人を支配しようとします。
襲われた女性や死人も出ている最悪な世界の中、土岐は遠野を守る事を決断します。
「漂流ネットカフェ」の注目は 妻・ゆきえとの温度差
押見修造の漫画は女性の闇の部分がよく描かれていると思います。
この漫画では土岐の嫁・ゆきえ。
妊娠中で色んなことに過敏になりヒステリー気味になっています。
序盤の喧嘩のシーンは有名なので画像でも見たことがあるという人は多いかもしれません。
妊娠でピリピリしているゆきえの気持ちは確かに分かる。
それに対して面倒くさいと思ってしまう土岐の気持ちも確かに分かる。
妊娠ではしゃぐ・けれど不安も少々あるゆきえと、現実感が沸いていない土岐の温度差がリアル。
ゆきえとは話しやすさから結婚までしてしまったという回想からあまり好きではないのに結婚したのかな？という印象を持ちます。
しかし「遠野に対する未練」も「ゆきえと子供に対する愛情」もどっちも本当の気持ちなんでしょうね。
登場人物のナヨナヨさ、優柔不断さがリアルに描かれていると思います。
「漂流ネットカフェ」の感想 世界の正体がすごい
世界の正体は土岐が遠野の未練から作り出した並行世界でした。
遠野は妄想の産物だったのです。
土岐の世界で死んだ人間は現実世界に戻っているということが分かり、次々と自殺をしていきます。
現実が嫌だと思っている土岐はどのような決断を下すのかが見所です。
遠野と一緒に世界に残りたいと思っている土岐の前に現れたのはゆきえではなく…。
なんとなく展開は予想できるけれど、物語に惹きこまれる描き方がされていてとてもすごいです。
「漂流ネットカフェ」の評価は★4
ありがちな設定をを絶妙な人間のリアルさを交えて描いているので面白いです。
けれど主人公にイライラする。
何故、遠野に未練があるまま結婚をしたのか。
この手の男は絶対に相手に強く迫られたら浮気するよなぁと思いながら読んでしまいました。
結婚をしている・妻が妊娠をしているという大切な時期に腹をくくりきれていないナヨナヨした態度が原因かと思います。
男性は生まれるまで実感がわかないといいますので、どっちかというと男性の方が土岐に共感ができるのではないでしょうか。
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